我が家の猫たちのこと【1】

 

 

我が家には2匹の猫がいる。

もちろん名前はあるけど、ここでは1号、2号として紹介する。

今回は猫たちを引き取った時のお話。

 

話は4年程前に遡る。

2匹はとあるカフェに保護されていた。

 

私の母がそのカフェの常連だった。

母に連れられてカフェに初めて行ったとき母が店主に言った。

 

「娘が猫を飼う予定だったんですけど保護主さんと話し合いがうまくいかなくて白紙になっちゃったんです」

 

その頃すでに同棲をしていた私たちは、猫の保護活動をしている彼女の友人の元から1匹引き取る予定だった。

しかしその友人の母親に猫だけで長時間留守番させてはいけないと言われ、会社勤めで日中家を空けてしまう私たちは猫を飼うのを断念したのだ。

 

そのことを店主に説明をすると、猫に留守番させても問題ないと言われた。

 

「猫は1日のほとんど寝て過ごしますし、ご飯と水とトイレさえちゃんと用意しておけば2泊くらいなら家を空けたって大丈夫ですよ。もし淋しくないか心配なら2匹飼えばいいんです」

 

そして、ちょうど保護されたばかりの子猫がうちにもいますから見てみませんかと猫たちが保護されている部屋へと案内された。

 

たくさんのケージと猫用のトイレが並んでいた。

ケージの中にいるのはまだ小さな子猫と介護が必要な障害のある猫たち。

成猫は自由に店内と保護部屋を行き来できるようになっていた。

 

当時生後3か月だった1号はケージの隅に小さく縮こまってこちらを警戒していた。

店主にも全く懐いていなかった。

 

店主にひょいっと摘み上げられるが全力の一蹴りでケージに戻ってしまう。

 

「抱っこしてみますか」

 

またケージから摘み出された1号を私は受け取った。

逃げなかった。

大人しく抱かれている1号を見て店主は驚いていたが私のほうがもっと驚いた。

軽くて暖かくて弱々しい生き物。

不安になってすぐケージに戻したが、1号から飛んで逃げたのではなかった。

 

私がこの子を幸せにするんだ。

 

謎の使命感が生まれた。

すぐに彼女に連絡して里親になることが決まった。

 

翌月、猫が住める環境を整えて迎えに行くと前回はいなかった子猫が増えていた。

1号より1か月年下の2号だ。

懐っこくて好奇心旺盛な2号はすぐに触らせてくれた。

 

「2匹でいればお留守番も淋しくないのでいたずらもあまりしなくなるし、お互いにじゃれあって力加減を覚えるので噛みつかれたり引っかかれたりして怪我をする心配が少ないですよ。何より、人馴れしてない1号は他にも猫がいたほうが心強いでしょう」

 

もともと2匹引き取るつもりでいたので2号とこのタイミングで出会えたのは運命だと思った。

彼女も2匹同時に引き取ることに賛同してくれていた。

 

そして母の運転する車に運ばれること約2時間。

私たちの住む部屋にやって来た1号と2号が仲良くなるのにかかったのは1週間程。

びびり倒していた1号も2週間足らずで人の腹の上に乗ってくるようになった。

 

こうして私たちは家族になったのだった。

 

猫とのお昼寝が至福の一時で猫のいない生活など考えられなくなってしまった。

彼女とは何があっても猫より長生きしようと約束している。