私の彼女のこと【2】

 

 

私の彼女はよく食べる。

決して大食いではない。むしろ小食なほうだ。

しかし食事以外の時間も何かしらずっと食べている。

 

何を食べているのかと言えばグミやラムネであったりひとつ10円ほどで売られている駄菓子など。

気に入ったものがあれば大量買いしてそれを日中や寝る前の時間に黙々と消費するのだ。

 

彼女は胃の中にピロリ菌が多いらしい。

そのせいでチョコやクリームなどの油分が多くて甘い食べ物は好まない。

たまには食べるが、欲張って食べると胃もたれしたり腹痛に襲われたりするようだ。

まだ20代半ばなのに不憫なのもだ。

 

そういう私はかなりの甘党で和菓子だろうが洋菓子だろうが大好きでビュッフェに行けばデザートばかり食べている。

ニキビができやすい体質なので毎日は無理だががスイーツを心ゆくまで食べるのはたまの楽しみである。

 

私と彼女にはある共通点がある。

それは4人兄弟であること。

女3人の男1人。

順番は違うが同じ男女比。

 

似たような兄弟構成であるのに幼少期の食生活はかなり違っていたみたいだ。

 

彼女の家はおかずやお菓子の取り合いでよくケンカをしたらしい。

好きなものをあとに残しておこうものなら横取りされるため、ゆっくり味わう暇もなく口に詰め込んでいたという。

今でもその当時のことを憎らし気に話すことがある。

食卓は戦場であったと。

いつもそれを大変だったねと他人事として聞いている。

 

そういう我が家はとても平和的であった。

お菓子をわけるときは一番上の姉が均等に分配してくれていた。

割り切れずに余るぶんは親に渡す。

数種類ある中からそれぞれ選ぶときは必ず末っ子から順番に。

夕飯のおかずは大皿に盛られていることが多かったが取り合ってケンカしたことなどなかった。

 

そんな私たちが同棲を始めて彼女は穏やかな食卓にとても感動していた。

私はと言えば口いっぱいに食べ物を入れてもぐもぐとほおばる彼女をリスみたいだと可愛がりつつカルチャーショックを受けた。

 

私が彼女のものを横取りすることがないからだろうか、食事はますますゆっくりに、お菓子などもたくさん買い置きするようになった。

私も食べるのは遅いほうで、早食いな人と食事をすると急かされているような気持になってしまうのでゆっくり食べてくれるのは助かっている。

 

今日の夕飯はインド料理屋さんに行った。

よく利用しているその店はリーズナブルで、もともとの量がとても多い。

さらにいつも何かしらサービスをつけてくれるのでかなり満腹になって帰ってくる。

 

今日も苦しくなるくらいお腹いっぱい食べて帰ってきた。

だが彼女はやはりグミを食べている。

よく食べる人は可愛いものだ。